近年、ファッション業界では1つのキーワードが流行っている。「パーソナライズ」という発想である。一人ひとりに合ったファッションを提供しようという考えで、その答えの1つが、いわゆるオーダーメードである。
ZOZOスーツで話題となったパーソナライズだが、じつはその前からオーダービジネスは増え続けており、高級ブランドだけでなくアオキなどの量販店もオーダー事業に力を入れている。
ところで、自分にピッタリのスーツを着ていればオシャレなのだろうか――
もちろん、そんなワケはない。
そのスーツにどんなシャツを合わせるのか。ネクタイは何を合わせるのか。靴は、バッグは――。結局のところ、「どのようにスーツを着こなすか」というコーディネートが肝心なのだが、じつはもう1つ、忘れてはいけないポイントがある。
相手にどう見られたいのか――。
仕事着とは、イメージ戦略を進めるための「武器」でもある。よく知られることだが、ファッションが相手に与える印象は思いのほか大きい。「あの人は誠実そうだ」「あの人、何となくだらしなさそう…」「あの人はいつもパリッとしていて、仕事ができそうだ」
こうしたイメージの多くは「見た目」によって作られる。言うまでもないことが、見た目の大部分を決めるのは「ファッション」であり、できればいつも気を使い、自分の思い通りの印象を与えたいものだ。
男性の場合、スーツだからそんなにバリエーションもないだろう――。
もちろん、毎日のように違ったファッションをする必要はない。けれども、取引先の社長だったりビジネスを一緒に進めるキーマンだったり、少なくとも重要人物だけには良いイメージを与えたいものだ。
そんな狙いを達成するためのオススメが「服メモ」である。
相手に会った際のファッションをメモしておく――。これが「服メモ」である。
例えば今月、お世話になっている経営者に会ったなら、「ジャケットは紺、シャツは白、ネクタイは緑」といった具合に手帳にメモしておくのだ。すると、次回会うときは前回とカブらないファッションを選ぶことができる。
これを習慣化すれば、常に相手に新鮮なイメージを与えられるだけにとどまらない。重要な商談だったりプレゼンだったり、いざという時に意外なファッションをすれば、より相手に印象付けることもできる。
「服メモ」は、ボクが20年ほど実践しているファッション術というか、ビジネスのルーティンである。始めたキッカケは、若い頃に出会ったとある経営者の言葉だった。
「荒木さんは、いつもオシャレに気を使っていますね。だから、あなたが考えるマーケティング企画はいつも面白いのでしょうね」
マーケティング企画は鮮度とバリエーションが重要であり、その経営者にはいつも異なるアイデアを提案するよう心がけており、そんな姿をしっかり見ていてくれたのだ。
昔は、「服メモ」はシステム手帳のカレンダーに記入していたが、今は鏡に映した自身の姿をスマホで撮影して残している。
いつもオシャレですね――。
実際のビジネスとは関係ない話だが、ビジネスのルーティンを持つのは案外重要である。